2018年10月
糸島の杉の間伐材でできたアルファベット、キノコトバ。
そこには、森につながるメッセージがこめられています。
生みの親はアウトドア用品店 GOOD DAILY HUNT を経営する林博之さん。
仲間数名とともに “THINNING”(シニング)という間伐をテーマにしたイベントも企画しています。
「(森の)言い表しようのない、ほっとする感じ。その空間に身を置いておくのが好き。好きだったら大切にしようとするんじゃないかな」林さんは森への想いをそう語ります。
幼少時代から山が好きという林さんです が、今の活動の原点をつくったのは1つの旅の経験でした。
22 歳のころ、徒歩で日本を縦断する旅に出ました。
旅で出会った見ず知らずの人たちに救われるなかで「困ったら誰かに聞き、話す。そこで関係ない話も生まれる。そこに豊かさがある」と学びます。
人間として何が大事なことか、何を大切にしなきゃいけないのか、その旅で気づいたと言います。
千葉で生まれ育った林さんに、いつかもっと自然に近い場所に住んでみたいという想いを育んだのも、その旅でした。
その後、アウトドア会社に就職。千葉に住みながら勤め続けて、やがて結婚。
家族が増えた矢先の 2011 年、震災を経験します。
家族で安心して暮らせる場を求め、もっと自然に近いところへと、生活の拠点を移すことに決めました。
糸島を選んだのは、自然、食、そして、 多くのつくり手が集い、協力している姿に感動したこと。
林さん自身、単にビジネスをするだけでなく、想いのあるところとつながって、それを形にしたくなったと言います。
それが、糸島の杉でキノコトバをつくることにつながりました。
THINNING というイベントは、必ずしもメッセージありきで始まったわけではありませんでした。
「たくさんの人が集まるのは楽しいこと。楽しいことを主役にしたい。そしてその楽しいイベントの一番良い場所で、山の現状を伝えられるようにできれば」と林さんは語ります。
「自分ではそこまでできていないと思っていても、ちゃんと想いのあることをやり続けていれば、見ている人は見ている」だから、続けていくことが大事だという林さんの言葉は、旅の経験からも裏打ちされています。