シンプルなデザイン。
だけどどこかかわいく、天然素材で作られた気取らない日常着や普段づかいのバッグ。
「Pas de deux」(パドドゥ)のアイテムは、見ているだけで優しい雰囲気が伝わってきます。
それらを手がけるのは、大坪純子さん。
自分用のリラックスできる服を作ることからはじまったという「Pas de deux」(パドドゥ)。大坪さん自身も、普段からご自身で作られた服をきている事も多いといいます。そんな「Pas de deux」(パドドゥ)の魅力を探りに、大坪さんのご自宅へ伺ってきました。
【Pas de deux誕生までの歩み】
大坪さんの出身は、長崎県長崎市。
塩を海水から作るなど、小さい頃からモノを作る事が好きな家庭に育ったといいます。
小学生の頃は、リリヤンやマスコット作りにはまり、その後も、刺繍や裁縫は好きで続けていたそうです。
当時は、これを生業にしようとは思っておらず、短大を卒業後、会社へ就職。
その後結婚、出産。産休中にパッチワークの先生と出会います。
それがきっかけとなり、パッチワークをはじめ、
自作のバッグや服を作るようになっていったそうです。
そして2001年、薪ストーブのある生活がしたいと家族で糸島へ引っ越して来られます。そこで知り合った陶芸家の友人に自分の作品を見せた事をきっかけに、一緒にイベントへ参加したのが「Pas de deux」の始まり。
その後は、糸島のカフェやお店に置いてもらい少しずつ販路を増やし、さらにクラフトフェスなどに出る機会をつくるなど、徐々に活動を広めていったそうです。
【夫婦で一緒にモノ作りを】
ちょうどそこ頃、様々なつくり手が工房やアトリエを連ねている緑に囲まれた芸術村と呼ばれる一角を工房として借りことになります。
その工房の内装は、旦那様がてがけられ、それを期に、大坪さんは毎日工房へ通い本格的に製作するようになっていったそうです。
実は、「Pas de deux」(パドドゥ)という名前は、バレエ用語の男性と女性のデュエットと言う意味があります。「夫婦で一緒にモノ作りを」という大坪さんの想いを込められこの屋号にされたそうです。
ただ2017年11月現在、一旦その工房は閉じている状況で、主な製作場所は大坪さんのご自宅。2016年頃からは、娘さんが一緒に製作するようになり、
今では「Pas de deux」のバッグ類は娘さんが担当。大坪さんは、服やその他小物を製作されています。
【丈夫さへのこだわり】
「使うからには、丈夫でないと。」と30年、40年も着ている服があるほど、
買ったもの、作ったものを長く使う事を大切にしている大坪さん。
「Pas de deux」のアイテムには
、
「丈夫で長く着られて、
体系も関係なく、年代も問わない、
そして流行もなく、気に入って長く着てほしい」という大坪さんの想いが込められています。
バッグの素材に、帆布を使用しているのも、”丈夫さ”へのこだわりがあるから。
そして、服にはきればきるほど柔らかくなるリネンを使用し、長く着られるようにと目の詰まった厚めのものを選ばれています。
さらに大坪さんのこだわりを感じさせられたのは、徹底された丁寧な縫製。
製作途中にミシンの糸が終わってしまったら、
全てほどき再度やり直すといいます。
「丁寧さは妥協できない。手抜きはダメだなぁって思うんです。」
と製作への想いを語ってくれました。
【これから】
「どこでどんな出会いがあるか分からないし、
自分の生み出した物が、
どういうふうな所にいって、
どんなふうに使われているんだろうと思ったら
時々うれしくなるし、そのへんが、モノ作りの楽しい所」
とモノ作りの魅力を語る大坪さん。
製作をしない日がないほど、
モノ作りが大好きな大坪さんは、
50歳を過ぎても、まだまだいっぱいやりたい事があるといいます。
その一つは、染め物。
現在は、柿渋染めのアイテムのみの製作ですが、
ゆくゆくは、実際に糸島の山でとれた木の皮などの天然素材を使って
布を好きな色に染め、それを使って製作したいそうです。
今は、なかなか時間がとれず難しいので、
旦那様が退職したら、旦那様に染めてもらうと
ご夫婦でお話されているとか。
10年後は、娘さんに続いて、
「Pas de deux」のメンバーとして、
旦那様が加わっているかもしれませんね。
これから新たに生み出される「Pas de deux」のアイテム達が楽しみです。
【エピソード】
催事を行った時の事。
男性が、年をとったお母様へおしゃれをして外出して欲しいと、「Pas de deux」の服をプレゼントとしてご購入されました。
後日、80代くらいのご夫人から大坪さんのご自宅へお電話があり、どこで買えるのかというお問い合わせがあったそうです。
話を伺うと、先日購入してくださった男性のお母様のご友人で、洗濯タグをみて、わざわざお電話をしてくださったそうです。
大坪さんは、80代の人にも着てもらえる服をつくっているんだなぁと感動され、モノ作りの魅力を改めて感じたそうです。
モノが人をつないでくれた素敵なエピソードをお話してくださいました。
取材日:2017年11月15日